労災の虚偽報告!?犯罪行為になる可能性も

業務が原因で労働者がケガや病気になってしまったり死亡してしまったりした場合は、会社は労災として労働監督署に「死傷病報告書」を提出する義務があります。しかし、さまざまな理由から、虚偽の報告や報告そのものを行わない「労災隠し」が行われることがあります。よくある事例ではありませんが、万が一自分が労災隠しの当事者になってしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

実際にあった労災の虚偽報告

運輸会社の倉庫で業務を行っていた労働者がフォークリフトと接触してしまい、4日以上の休業を必要とする労災事故がありました。この労災について会社は、労働基準監督署へ「労働者が階段から落ちたことによる負傷」という虚偽の報告を行っていました。理由は、「フォークリフトを運転していたベテラン労働者が免許停止になり、退職されると困る」というものでした。この労災については、被災した労働者の相談で発覚しました。

労災の虚偽報告をするとどうなる?

労災の報告は労働安全衛生法という法律で定められています。そのため、虚偽の報告をするという行為は犯罪行為にあたり50万円以下の罰則に処せられてしまいます。さらに、労災隠しを行った会社には以下の厳正な措置が取られます。

  • 出頭し、警告を受け再発防止策を求められる
  • 全国規模で事業展開している場合は、本社などに対して再発防止措置を講じる
  • 建設事業無災害表彰を受けていた場合は、それを返還する
  • 労災保険メリット制が適用されていた場合は、労災保険料を再計算し適正な保険料を徴収する

こうした処罰や措置が取られるだけでなく、労災を隠したいたことがニュースなどに取り上げられれば、社会的信用を失い、今後の経営にも大きな影響をもたらすでしょう。

労災隠しをしてしまう理由

なぜリスクをおかしてまで、労災隠しに走ってしまうのでしょうか。それには次のような理由が考えられます。

  • 業務停止処分や業務改善処分などの措置や処分を避けたい
  • 労災保険料の値上がりを防ぎたい
  • 表彰や安全成績の実績を守りたい
  • 今後の受注への影響

労災隠しの一番の被害者は?

労災は会社にとってもデメリットがあるものですが、労災隠しの一番の被害者は何といっても、被災してしまった従業員でしょう。労災が適用されなければ、治療費を健康保険で負担する、休業補償がないといった状況が考えられます。労災でなければ、後遺障害の補償はもらえないので、体に障害が残ってしまった場合には今後の生活に支障が出るだけでなく、大きな損害となってしまうでしょう。

労災隠しをさせないために

もし、労災にあった場合は、会社に死傷病報告書の写しをもらい、その内容に間違いがないかを確認しましょう。もし間違いがあれば、訂正を求め、応じてもらえない場合は、然るべき場所への相談を考えます。

会社が労災を使用してくれない、労災隠しがあったなどという声は時々耳にするワードではあります。労災は、自ら労基署に赴き相談することもできますので、まずは一度勤務先を管轄する労基署に行ってみるのも一つでしょう。労災でカバーできない範囲は、専門的知識を持った弁護士にお任せください。