挟まれ事故・巻き込まれ事故

挟まれ事故・巻き込まれの労災事故とは

労働中の挟まれ・巻き込まれ事故は、製造業・物流業・建設業・農業を中心に幅広く発生していて、発生件数の多い労働災害のひとつです。

挟まれ・巻き込まれ事故による労働災害では、労災保険からの保険給付が受けられる以外に、事故原因によっては会社に対して損害賠償請求ができることもあるので、適正な補償を受けることができるケースもあります。

挟まれ事故の災害とは

挟まれ事故の災害とは、作業中に体の一部が機械や設備、構造物の間に挟まれて負傷する事故を指します。

このような事故は、骨折や切断といった重傷を引き起こすことが多いです。

適切な安全対策が講じられていない場合、重大な労災事故につながりますので、作業手順の徹底と機械の安全装置の使用が重要だと考えられます。

巻き込まれ事故の災害とは

巻き込まれ事故の災害とは、作業中に体の一部や衣服が機械や装置に巻き込まれて負傷する事故を指します。

このような事故は、旋盤やコンベアなどの回転する機械を扱う現場で多く発生し、切断や挫傷を引き起こすことが多いです。

巻き込まれ事故を防ぐためには、作業前の機械点検や適切な保護具の着用、操作手順の徹底が重要であり、安全管理が不十分な場合、重大な労災事故に発展するケースが考えられます。

挟まれ事故・巻き込まれが起こる原因

挟まれ・巻き込まれ事故が発生する主な原因としては、下記の原因が挙げられます。

適切な安全装置が作動されてなかったり、機械や設備のメンテナンスが不十分だったりすると、事故のリスクが高まります。

また、正しい操作手順を守らずに作業を行うこと(作業手順の不徹底)、機械の操作中に不注意が発生すると、体が機械に挟まれたり巻き込まれたりする危険性が増します。

さらに、長時間の作業や過労により集中力が低下(作業員の不注意疲労)することで、さらに事故リスクが高まります。

よくある原因①:安全装置の未設置や不具合

例えば、機械の緊急停止ボタンや安全カバーが設置されていなかったり、故障して機能していない場合、作業員が誤って機械に挟まれたり巻き込まれたりするリスクが高まります。

よくある原因②:不適切な作業手順

作業員がマニュアルを無視して作業を進めたり、安全確認を怠った場合に、機械が稼働している状態で手や衣服が巻き込まれる事故が発生しやすくなります。例えば、動作中の機械に手を突っ込むような作業は大きな危険を伴います。

よくある原因③:機械のメンテナンス不足

長期間メンテナンスが行われていない機械は、異常動作や予期せぬ動きが発生することがあります。例えば、老朽化したベルトコンベアが突然動き出し、作業員が巻き込まれるといった事故が考えられます。

よくある原因④:作業員の不注意や疲労

長時間の作業や過度な疲労によって作業員の集中力が低下し、注意力が散漫になると、挟まれや巻き込まれ事故が起こりやすくなります。例えば、作業中にうっかり手を伸ばした先に動いている機械があることに気づかずに事故が発生することがあります。

よくある原因⑤:教育・訓練不足

新しい作業員や経験の少ない作業員が、適切な教育や訓練を受けていない場合、機械の操作方法や危険回避の手順を十分に理解しておらず、事故を引き起こす可能性があります。例えば、正しい手順を知らずに動作中の機械に手を近づけてしまうことが原因で事故が起こることがあります。

挟まれ・巻き込まれ事故で受け取れる労災保険給付の種類

労働中に挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害が起きた場合は、労働災害のうち業務災害に該当する可能性が高いです。
そのため、労働基準監督署に労災申請をして、労災認定がされれば、労災保険から保険給付が受けられます。

業務災害の労災認定要件とは

労働中の挟まれ事故・巻き込まれ事故が、「会社の指揮命令下で起きた事故であること(業務遂行性)」と、「事故で負った怪我と業務との間に因果関係があること(業務起因性)」という、2つの要件を満たせば、労働災害が認定されます。

挟まれ・巻き込まれ事故で受け取れる可能性がある労災保険給付の種類

挟まれ事故・巻き込まれ事故で労災認定されると受け取れる可能性のある労災保険給付は次のとおりです。

療養や休業が生じた場合後遺障害が残った場合被災者が亡くなった場合
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・介護補償給付
・遺族補償給付
・葬祭料

挟まれ・巻き込まれ事故による後遺障害の内容

労働中の挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害では、次のような重篤な後遺障害が残ってしまう場合があります。

挟まれ事故や巻き込まれ事故は、非常に深刻な労災事故であり、重篤な後遺障害を引き起こすことがあります。以下は、これらの事故によって生じる可能性のある主な後遺障害です。

頭部外傷

頭部が挟まれたり、巻き込まれたりした場合、頭蓋骨が骨折し、脳に外傷が生じることがあります。これにより、高次脳機能障害や記憶障害、言語障害、人格の変化など、深刻な後遺障害が残ることがあります。

四肢の切断や機能喪失

挟まれたり巻き込まれたりすることで、指や手、足などの四肢が切断されることがあります。切断に至らない場合でも、重度の骨折や軟部組織の損傷により、四肢の機能が著しく低下することがあります。また、関節が損傷することで、動かすことができなくなったり、可動域が制限することがあります。

神経損傷

挟まれたり、巻き込まれることで神経が圧迫されると末梢神経が損傷し、手足の感覚が失われたり、麻痺が残ったりすることがあります。これにより、触覚や痛覚の喪失、動作の不自由が生じます。また、背骨が損傷され、脊髄が圧迫されたり切断されたりすることで、下半身麻痺や四肢麻痺といった重篤な後遺障害が残る可能性があります。

後遺障害が残った場合の補償の内容

後遺障害は、被災者の生活に深刻な影響を与える可能性があります。適切な治療とリハビリテーションが必要ですが、それでも完全に回復することが難しい場合もあります。また、法的に適正な賠償を受けるためには、後遺障害の程度を正確に評価し、必要な補償を得ることが重要です。

このような障害が残ってしまった場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、労働基準監督署に請求書を提出し、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

残存した障害について等級認定されれば、労災保険より次のような給付が受けられます。

障害等級1級~7級に該当する場合障害等級8級~14級に該当する場合
・障害補償年金
・障害特別支給金
・障害補償一時金
・障害特別支給金

挟まれ事故や巻き込み事故は重傷になることが多く、補償額は数百万円から数千万円になることも珍しくありません。

また、挟まれ事故や巻き込み事故は、会社の同僚が操作を間違えたり、安全確認をせずにボタンを押してしまうなど、第三者の過失が重なって生じることがあります。
このような場合には、会社に対して安全配慮義務違反・使用者責任を追及して損害賠償の請求をすることが可能となります

挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害による損害賠償請求について

労働中に挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害に遭った場合は、上記の労災保険給付に加えて、安全配慮義務違反使用者責任を根拠に、会社へ損害賠償請求が可能なケースがあります。

安全配慮義務違反と使用者責任

安全配慮義務違反会社は従業員の健康と安全に配慮する義務を負っていて、この義務を怠ったために労災が起きたことを立証できれば、損害賠償請求が認められます。
使用者責任ほかの従業員の過失によって労災が起きた場合、その従業員を雇用する会社も賠償責任を負うため、過失のある従業員と会社に対して、損害賠償請求ができます。

慰謝料や、一部の損害は労災保険の補填だけでは不十分な場合があるので、会社や過失のある従業員に対して損害賠償請求ができるかどうか確認してみましょう。

挟まれ事故・巻き込まれ事故はアジア総合法律事務所に相談ください。

上記のような対策が十分でない現場で挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害が生じることがあります。

挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害は、作業中の物を落下させてしまうなど、第三者の過失が重なって生じることがあります。

事故の原因が第三者にある場合や、会社が安全な労働環境を整備していないことが原因である場合は、会社に対して損害賠償請求をすることができる可能性があります。

挟まれ事故・巻き込まれ事故の災害は、特に重傷になるケースが多く、補償額は数百万円から数千万円になることも珍しくありません。

このような場合には、会社に対して安全配慮義務違反や使用者責任を追及して損害賠償の請求をすることが可能となります。

労働現場の事故については会社の安全配慮義務が認められる可能性が高いので、労働災害の遭われた方は当事務所までご相談ください。