企業が加入できる民間の保険

労災保険と健康保険は併用することができない

健康保険は、労働災害とは関係のない傷病に対して支給されるものです。
したがって、労災保険と健康保険は、併用することができません。

労働災害であるにもかかわらず、誤って健康保険を使用してしまった場合、治療費の全額を一時的に自己負担しなければならないことがあります。
特に、長期間の入院や複数回の手術を要する場合などでは、治療費だけで数百万円にのぼることもあります。
労働災害で被災した場合には、必ず労災保険の請求を行いましょう。
労災保険について相談をしたい場合は、お近くの労働局や労働基準監督署で相談にのってもらうことができます。

労災が発生した企業は、数千万円の損害賠償を被ることもある

企業が労働災害における任意保険に加入していない場合は、直接企業に対し損害賠償請求を行うことになります。
労災事故は、重篤な後遺障害が残存するケースも多々ありますので、仮に死亡事故などとなった場合、労災保険だけでは到底本人や遺族らの損害を賄いきれず、企業側に数千万円を超える損害賠償を請求するケースもあります。

しかしながら、そもそも企業に資力がない場合もありますので、私共が企業と直接交渉をする際も、企業が労災保険の上乗せとして、民間の労災の上乗せ保険に加入しているかどうかは必ず確認しています。
もし、企業への損害賠償請求を迷われている段階であれば、一度自身が勤める企業が民間の労災保険(上乗せ保険)へ加入しているか、確認してみるのも良いでしょう。

代表的な労災保険(民間の上乗せ保険)の種類

ここでは、民間保険会社が提供している労働保険について一部ご紹介したいと思います。代表的な企業では大きく 2 種類ありますので、下記の具体例を参照してみてください。

東京海上日動火災保険株式会社

労働災害総合保険

法定外補償保険および使用者賠償責任保険の 2 つの保険の組み合わせから出来ています。(法人保険)
*法定外補償保険:政府労災保険の給付が決定された労働災害*について、被保険者が政府労災保険に上乗せして給付する災害(労災補償給付とは別に、企業が独自の立場から補償給付の上積みを行う)について、保険金を支払います。(業務災害・通勤災害の認定、後遺障害等級・休業日数の認定については、政府労災保険の判定に従います。)
*使用者賠償責任保険:政府労災保険の給付が決定された労働災害について、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担した場合に、保険金をお支払いします。
超 T プロテクション( 業務災害総合保険)...従業員の方が、お客様の業務に従事中または通勤中に被った身体障害について 、被保険者が法定外補償を行うことによって生じる損害に対して、保険金を支払います。

死亡補償保険金・後遺障害補償保険金

入院補償保険金・手術補償保険金
死亡された場合、または所定の後遺障害が生じた場合に保険金を支払います。
入院された場合、または所定の手術を受けられた場合に保険金を支払います。

通院補償保険金

通院された場合に保険金を支払います。

損害保険ジャパン株式会社

労働災害総合保険

1)法定外補償条項
政府労災保険等の上乗せとして、被災した被用者またはその遺族に補償金を支払うことによって被る損害について、保険金をお支払いします。死亡補償保険金・後遺障害補償保険金・休業補償保険金の3 種類があります。
2)使用者賠償責任条項
事業主側の責任となる労働災害が発生した場合、被災した被用者またはその遺族からの損害賠償請求により、貴社が法律上の損害賠償責任を負担することによって生じる損害に対して、てん補限度額を限度として、被保険者に保険金をお支払いします。
被災した被用者またはその遺族に支払うべき損害賠償金は、具体的には、死亡や後遺障害  の場合の逸失利益(本人の得べかりし利益の喪失)、休業損失、慰謝料、 争訟費用訴訟があります。調停に持ち込まれた場合は、それに要する費用や弁護士報酬についても保険金のお支払いの対象となります 。

*出所*
損保ジャパン日本興亜「労働災害総合保険のご案内」
東京海上日動「労働災害総合保険」