労災事故の被害者支援に取り組む理由

手で囲まれた、人が輪になった紙のイメージ

当事務所は、福岡・九州を中心に、それ以外の地域を含む全国から労災事故(労働災害)に遭われた方からのご相談をお受けしています。労災事故では、労災保険の給付を受けるだけでなく、後遺障害の等級認定や、会社に対する損害賠償請求が問題になることが多くあります。このページでは、当事務所が労災事故の被害者支援に力を入れている理由と、弁護士にご相談いただくことでできることをご紹介します。

後遺障害の等級認定と医学的な立証

当事務所は、2012年から交通事故の被害者の方の損害賠償事件を専門的に数多く取り扱ってきました。交通事故(自賠責保険)の後遺障害の認定は、労災保険の障害等級の認定基準に準じて行われており、認定の考え方に共通する部分が多くあるため、当事務所が約15年にわたって培ってきた後遺障害の医学的な立証が労災事故の後遺障害の認定においても役立つことから、当事務所では2016年から労災事故の後遺障害の認定についても取り組むようになりました。

後遺障害の等級は、労災保険の障害(補償)給付の金額だけでなく、会社に対する損害賠償の金額にも大きく影響します。適正な等級の認定を受けるためには、医学的な知識と、認定基準を踏まえた検査や後遺障害診断書の準備が必要になります。当事務所では、交通事故の事件で積み重ねてきた医学的な立証の経験を、労災事故の被害者の方のサポートに生かしています。

後遺障害の等級によって賠償額はどう変わるか

会社に対する損害賠償のうち、後遺障害に関する主な項目は、①後遺障害によって将来の収入が減ることへの賠償(逸失利益)と、②後遺障害が残ったことへの慰謝料です。どちらも、認定された等級によって金額が大きく変わります。

逸失利益は、おおむね「事故前の年収 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する係数(ライプニッツ係数)」で計算します。労働能力喪失率は等級ごとに目安が定められており、認められる後遺障害の内容にもよりますが、例えば14級は5%、12級は14%、10級は27%、8級は45%となることが多いです。労働能力喪失期間は、原則として67歳までとされますが、むち打ちなどの神経症状の場合は、14級で5年程度、12級で10年程度に限られるとされている裁判例が多いからです。

以下は、等級によって賠償額がどの程度変わるかをイメージしていただくための一例です。年収400万円の方が45歳で症状固定となった場合を仮定して計算しており(14級・12級は神経症状の場合を想定)、実際の事案でこの金額になることを示すものではありません。

試算例(一例・仮定の条件による計算)
等級労働能力喪失率労働能力喪失期間逸失利益慰謝料合計
14級5%5年約90万円110万円約200万円
12級14%10年約480万円290万円約770万円
10級27%22年(67歳まで)約1720万円550万円約2270万円
8級45%22年(67歳まで)約2870万円830万円約3700万円

※ライプニッツ係数は、年3%で、5年は4.5797、10年は8.5302、22年は15.9369としております。

※慰謝料は、裁判実務で用いられている目安の額です。

※この表は、仮定の条件にもとづく一例です。実際の金額は、年齢、収入、後遺障害の内容、仕事への影響、事故の状況などによって大きく異なります。

※上の金額は損害額の試算です。実際に会社に請求できる金額は、ここから労災保険の給付の一部が差し引かれ、ご本人にも過失がある場合には、その割合に応じて減額されます。

上記のように、同じ事故でも、何級が認定されるかによって、賠償額は大きく変わります。当事務所が後遺障害の等級認定を重視しているのは、このためです。

解決事例:後遺障害診断書の記載を見直し、第10級の認定を受けた事例

物流倉庫で、後方からバックしてきたフォークリフトにはねられ、左足首を開放骨折した方の事例です。事故から約2年が経過した時点でご相談を受けましたが、後遺障害診断書には、実際には足首がほとんど曲がらない状態であるにもかかわらず、「可動域の左右差なし」と記載されていました。

当事務所では、医師との面談を申し入れ、足首の可動域の測定を改めて依頼し、診断書の訂正と、可動域の制限を裏付ける医学的所見の記載をしていただきました。その結果、労災保険で後遺障害第10級の認定を受け、その後、加害者の勤務先との交渉により、既払金を除く示談金1000万円で示談が成立しました(被害者の方の年齢と収入によっては2000万円~3000万円程度になることもあります)。

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労災保険で補償されるもの・補償されないもの

労災保険からは、治療費(療養(補償)給付)、休業中の補償(休業(補償)給付)、後遺障害が残った場合の補償(障害(補償)給付)などが支給されます。

もっとも、労災保険だけで損害のすべてが補償されるわけではありません。また、労災保険には慰謝料(精神的な苦痛に対する賠償)の給付がありません。そこで、会社に安全配慮義務違反などの責任がある場合には、労災保険で補償されない部分(慰謝料、休業損害や逸失利益のうち労災保険で補われない部分など)を、会社に対して請求することになります。
また、休業(補償)給付は給付基礎日額の60%(これとは別に休業特別支給金として20%)であり、収入の減少分の全額が補償されるわけではありません。

労働基準監督署への申告と「労災隠し」

会社は、労働者が労災事故で死亡したり、4日以上休業したりした場合、労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなければなりません。報告をしない、または虚偽の内容を報告することは、いわゆる「労災隠し」として処罰の対象になります(50万円以下の罰金)。

それでも実際には、会社から「今回は健康保険で治療してほしい」「治療費は会社が出すので労災にはしないでほしい」と求められたり、「事故の場所」や「事故状況」が実際と違う内容で報告されたりすることがあります。労災隠しは犯罪ですというポスターなどを見たことがあるかもしれませんが、このような労災隠しは、現在においてもかなり多い状況です。

労災保険の請求は、仮に、会社が手続に協力しない場合でも、ご本人が直接労働基準監督署に行うことができます。健康保険で受診してしまった場合でも、後から労災保険に切り替える手続があります。また、ご本人に不注意があった事故でも、原則として労災保険は利用できます。

特に注意が必要なのは、事故直後に労働基準監督署へ出された報告や申告の内容が、その後の会社との交渉や裁判で、事故の状況を判断する出発点になることです。事故の場所や状況が実際と違う内容のまま手続が進むと、後に会社の安全配慮義務違反を主張する際に、不利になることがあります。会社の報告と実際の事故状況が違う場合には、早い段階で、ご本人から労働基準監督署に正確な事故状況を伝えておくことが重要です。

会社に対する損害賠償請求(安全配慮義務違反)

会社(事業主)は、労働者が安全に業務を行えるよう配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。安全な作業手順が定められていなかった、必要な安全対策がされていなかったり、安全設備や保護具が用意されていなかった、十分な安全教育が行われていなかったといった場合には、会社に対して損害賠償請求をできる可能性があります。

一方で、事故は会社の敷地内や派遣先の現場で起きることが多く、被害者の方が事故の状況を立証するための資料を集めることは容易ではありません。事故の後に会社が作成する事故報告書や再発防止策には、事故の状況や、会社の安全対策の問題点が記載されていることがあり、後に会社の責任を立証する際の重要な資料になります。こうした資料は、事故から時間がたつほど集めにくくなる傾向にあります。

また、勤務先や元の勤務先を相手に、被害者の方がご自身で交渉することは、精神的な負担も大きいものです。弁護士にご依頼いただければ、事故の状況や会社の責任の有無を検討したうえで、代理人として会社と交渉いたします。交渉で解決しない場合は、訴訟も検討します。

事故直後・治療中の段階からご相談いただけます

ご相談に来られる方の多くは、事故に遭われて間もない時期で、何から手を付ければよいか、どのような補償を受けられるのか分からないという状況にあります。後遺障害の認定では、治療中にどのような検査を受けておくかが重要になることもあるため、早い段階でのご相談をお勧めしています。

当事務所では、治療中の段階からご相談をお受けしています。労災保険の給付申請、後遺障害の申請に向けて必要な検査や資料、症状固定の時期、会社との交渉の進め方について、事案に応じてアドバイスいたします。

初回のご相談は無料です

労災事故に関する初回のご相談(60分)は無料です。ご依頼いただく場合も、事前に見通しと弁護士費用の見積りをご説明し、ご納得いただいてからご依頼いただく形をとっています。費用の詳細は「労災の弁護士費用」のページをご覧ください。

お電話やオンライン(ZOOM・LINE)でのご相談にも対応しています。福岡・九州にお住まいの方はもちろん、遠方の方からのご相談もお受けしています。