アスベスト(建設アスベスト)|中皮腫

日本ではアスベストによる健康被害に対する補償や救済制度があります。その中のひとつ、国家賠償金請求は対象者に対して受け取っている方が少ないため、国は損害賠償の対象者に対して通知の送付を行っています。この通知を受け取った場合は最高で1,300万円の損害賠償金が支払われる可能性があります。

しかし、通知が届いても、賠償金を得るためにどうしたらよいか分からないという方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、ぜひ弁護士にご相談ください。手間のかかる賠償金の支払いを受けるための訴訟を全力でサポートいたします。

アスベストが原因の健康被害への補償・救済制度についてご紹介いたします、通知が届いた方はもちろん、対象者かもしれないとお考えの方はぜひご参考にしてください。

アスベストによる健康被害とは?

アスベスト(石綿)が原因と思われる疾患

アスベストが引き起こす疾病はさまざまなものがありますが、代表的なものに以下の4つが挙げられます。

  • 中皮腫
  • 肺がん
  • 石綿肺
  • びまん性胸膜肥厚

いずれもアスベストを吸い込むことで起こる肺の疾患で、咳や息切れ、痰、胸痛、呼吸困難などの症状があります。悪化すると日常生活に支障をきたしたり、死に至ったりする重い疾患です。肺がんやびまん性胸膜肥厚などは他の要因も考えられますが、中皮腫、石綿肺は特にアスベストと深い関わりがあります。

アスベストによる疾患は、アスベスト暴露から発症までの期間が長いことが特徴で、発症には数十年かかることもあります。そのため、疾患とアスベストの因果関係の証明が難しいケースがあります。

アスベストによる健康被害を受けているかも?と思ったら…

咳や呼吸困難などの症状があり、アスベストが原因かもと心当たりのある方は、まずは医療機関にご相談ください。中でも、全国25カ所(2020年3月時点)の労災病院にあるアスベスト疾患センターでは、アスベストによる疾患に対する相談・診断・診療を専門的に行っていますので、心配や不安がある方はお近くの労災病院へ相談してみるとよいでしょう。

アスベストとはどんなもの?

アスベストは、天然の鉱物繊維で石綿(せきめん・いしわた)とも呼ばれます。その繊維は極めて細く、熱や摩擦、酸やアルカリなどに強いため丈夫で変化しにくいのが特長です。そのため、その多くは吹き付け材、断熱材などの建材として使用されていました。また、自動車のブレーキライニングなどの摩擦材など、工業製品にも使われました。しかし、アスベストは発がん性があることが分かり、現在では、製造や使用は原則禁止です。

日本では主に3種類のアスベストが使われていました。発がん性の高い順に次の通りです。

  • クリソタイル(白石綿)
  • アモサイト(茶石綿)
  • クロシドライト(青石綿)

アスベスト国家賠償金請求をすることも

アスベストが原因で病気になってしまった場合、条件によっては国から550~1,300万円の賠償金の支払いを受けられます。平成26年に最高裁判所がアスベストによる健康被害に対する国の責任を認めたため、一定の条件を満たす方に対して国が賠償金の支払いを行うことになりました。賠償金を得る手続きは、訴訟を起こし和解をするという流れで、対象になる要件は次の通りです。

対象者
  • 昭和33年5月26日から昭和46年4月28日の間、局所排気装置を設置すべきアスベスト工場内で、アスベスト粉塵にさらされる作業をしていた方。
  • アスベストが原因の「中皮腫」「肺がん」「石綿肺」「びまん性胸膜肥厚」に罹患した方。
  • 提訴する時期が損害賠償請求権の期間内であること。

賠償金額は疾患の種類や程度によって異なります。アスベスト工場で勤務していた方の場合は次の通りです。

  • 中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚 1,150万円
  • 石綿肺 550~1,150万円
  • 上記疾患による死亡 1,200~1,300万円

アスベストに対する国家賠償金以外の補償や救済制度

アスベストによる健康被害の救済制度は、賠償金だけではありません。賠償金の支払い対象者でなくても利用できる制度をご紹介します。

アスベストにおける労災保険制度

アスベスト工場に勤務していなくても、業務上アスベストの吸入が原因で疾病にかかった場合に労災保険給付を受けられます。給付には次のようなものがあります。

  • 療養給付
  • 休業給付
  • 傷病年金
  • 障害給付
  • 介護給付
  • 遺族給付及び葬祭料

労災の認定を受けるには、保険給付請求書に必要事項を記載し、被災した方が所属する事業所を管轄する労働基準監督署長への提出が必要です。

石綿健康被害救済制度

アスベストによる健康被害について労災の対象とならない方も広く対象とする制度です。例えば、周辺住民の方や、労災の対象者だったにも関わらず認定が間に合わず亡くなってしまった方、時効などの理由により労災補償を受けられない遺族の方などが対象となります。

指定疾患は、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害がある石綿肺またはびまん性胸膜肥厚です。主な給付は、医療費の自己負担分や療養手当(約10万円/月)、特別遺族年金(240万円/年)などです。指定疾患がアスベストによるものという認定を環境再生保全機構から受けると受給できます。

遺族の方でも救済制度が受けられる

アスベストによる健康被害は潜伏期間が長いのがその特徴です。救済制度の対象となる疾病になっても、アスベストが原因と認められるまでに長い時間がかかることがあります。そのため、対象者の方が残念ながら給付を受ける前に亡くなってしまうこともあるのです。

しかし、対象者の方が亡くなってしまった場合は、それぞれの制度で条件が異なりますが、遺族の方が訴訟を起こしたり、救済制度を受けたりできます。

アスベストによる国家賠償請求は弁護士への相談が近道

国家賠償請求の手続きは複雑で、自分で行おうとすると多くの労力と時間がかかります。そこで、訴訟の対象者かもしれないと思ったらまずは弁護士に相談することがおすすめです。弁護士に相談するメリットをご紹介します。

必要書類の準備

訴訟には指定疾患がアスベストによるものだという証明するための書類がいくつも必要です。しかし、アスベストによる疾患は潜伏期間が長いので、会社が倒産しているケースなども考えられ、その証明が難しい場合もあります。こういった必要書類の準備も弁護士に相談すれば、スムーズに進められるでしょう。

手続きの代行

体調が悪い中、裁判を起こすのはとても大変なことです。弁護士に依頼することで、訴状の作成や裁判所への出頭を代行してもらえます。また、提訴時期が損害賠償請求の期間内であるかどうかも、本人に代わって確認してもらえます。

適切な認定を受けることができる

国家賠償請求の対象とならなくても、他の救済制度の対象になる場合などは適切なアドバイスやサポートが受けられます。労災認定を得意とする弁護士も多く、疾病に対して適切な認定を受けられるだけでなく、会社などとのやり取りや示談交渉なども有利に進められる可能性があります。

アスベスト健康被害についての弁護士費用

以下状況別の弁護士費用に加え、事件終了時に別途実費を清算させていただきます。

相談料

初回相談料(60分):無料

労災・救済法申請手続き

着手金 0円
報酬金 支給額の10%(税込11%)

*療養補償給付(治療費)のみの場合、報酬金は一律3万円(税込3万3000円)。
*年金等の継続的給付の場合は、7年間分に相当する年金額を支給額とします。
*石綿救済法の救済給付のうち、療養手当については、報酬金は一律15万円(税込16万5000円)。

建設アスベスト給付金申請

着手金 0円
報酬金 労災認定が既に済んでいる場合、支給額の5%(税込5.5%)
    労災認定がお済みでない場合、支給額の10%(税込11%)

国に対する賠償請求訴訟(工場型・建設型)

着手金 0円
報酬金 受領額の20%(税込22%)

*実費のうち、数万円〜10万円程度は印紙代等として事前に預かることがあります。

企業に対する請求

示談交渉の場合

着手金 0円
報酬金 受領額の16.8%(税込18.48%)

訴訟手続きの場合

着手金 要相談
報酬金 受領額の20%+10万円(税込22%+11万円)

*実費のうち、数万円〜10万円程度は印紙代等として事前に預かることがあります。

建材メーカーに対する請求

着手金 0円
報酬金 受領額の16.8%(税込18.48%)

日当・実費について

日当

弁護士等が県外等に出張して業務を行う必要がある場合に発生します。

  • 半日(2~4時間)3万円(税込3万3000円)
  • 1日(5~7時間)5万円(税込5万5000円)
  • 1日(7時間以上)7万円(税込7万7000円)

実費

実費は事件を処理するに必要な諸経費となります。
印紙代、切手代、コピー代、交通費等になります。

※その他の労災事故の弁護士費用はこちら

労働災害弁護士相談 ではアスベストの救済についてサポートしています

弁護士法人アジア総合法律事務所は、福岡を中心に国内の労災問題へ取り組んでいる弁護士事務所です。アスベストの健康被害についても、も依頼者に寄り添い誠実かつスピーディーに解決へ導くために取り組んでいます。アスベストに対する健康被害でお悩みの方や、救済制度の対象者である可能性がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

アスベストによる健康被害は日本において大きな問題の一つです。その健康被害はアスベストを取り扱う労働者だけでなく、工場の近隣住民などにも広がっています。さまざまなケースに対応できるよう救済制度も複数あります。ただし、認定などに時間がかかることが予測されますので、どれか一つにでも心当たりのある方はぜひ弁護士にご相談ください。