落下物に当たった(飛来)事故、物を落とした(落下)事故

落下物に当たった(飛来)事故、物を落とした(落下)事故

飛来・落下の労災事故とは

飛来・落下の労働災害とは、主に建設業、林業を中心に発生している労災事故となります。

鋭く尖った小さな物が飛んできたり、重たい物が落ちてきてぶつかったりするなど、最悪の場合は重篤な怪我を負うケースも少なくありません。

飛来・落下災害は毎年数多く発生していて、このうち死亡事故は全体の約6%という厚生労働省の統計からも、飛来・落下災害が比較的身近に起こり得る労働災害であることがわかります。

本ページでは、労働中の飛来・落下災害に注目して、労災保険給付や損害賠償請求について詳しく解説していきます。

落下事故の災害とは

飛来・落下災害は、近年減少傾向にありますが、労働現場でよく起こる身近な災害です。

死亡災害の約6%、死傷災害の約11%が飛来・落下災害とされています

落下災害は本人ご自身が被災するケースもありますが、同僚や共同作業者の過失によって被災するというケースもあります。落下災害は、約70%が工器具やローラーなどを取り扱い中に落下させることで発生しています。

落下災害は、取扱中の物の落下が約70%と多く、それ以外の物の落下は約30%となっています。落下災害を防止するためには、物を落とさない対策が重要となります。

飛来事故の災害とは

飛来災害では目の災害が多く、ゴミや鉄片、コンクリートなどが目に入ると大きな怪我につながります。草刈りをしていた際に眼に石や草刈り機の刃の破片などの飛来物が入ったという事故もあります。

飛来災害は、加工・処理中の物体片の飛来が最も多く、加工・処理中の物の飛来もあります。飛来災害では、そもそも加工・飛来中の破片を飛ばさないように注意をすることが大事ですし、飛ばしてもブロックできるような保護メガネを着用するなどの防止の施策をしておくことも重要です。

飛来・落下事故の災害が起こる原因

労災事故の中でも飛来・落下災害は非常に多く発生しており、重大な被害をもたらすことが多いです。飛来・落下災害の原因を理解することで、被災者は自分の権利を守り、適切な補償を受けるための第一歩を踏み出すことができます。以下では、飛来・落下災害が起こる主な原因について詳しく解説します。

よくある原因①:設備の老朽化

古い設備や建物の劣化が進んだ場合、部品や構造物が飛来・落下するリスクが高くなります。定期的な点検やメンテナンスが不十分な場合だと、設備の部品などが落下することで、労災事故の原因となることが多いです。

よくある原因②:保護措置の欠如

作業現場での安全ネットや防護柵などの保護措置が不足していると、落下物から作業員を守ることができません。適切な保護措置が講じられていない現場は、労災のリスクが高まります。

よくある原因③:不適切な作業手順

適切な手順を守らず作業を行うことで、飛来・落下災害が発生するリスクが増加します。高所での作業中に工具や資材を適切に固定しない場合、落下して下の作業員に被害を与えることで労災事故が発生することに繋がります。

よくある原因④:教育・訓練不足

会社が安全講習を実施していなかったり、作業員が適切な教育や訓練を受けていない場合、安全な作業手順を知らずに危険な行動をとることがあります。定期的な安全教育や訓練の不足は、労災事故の原因となります。

よくある原因⑤:集中力の欠如

長時間の勤務や作業、過度な疲労が原因で、作業員の集中力が低下し不注意が増加します。これにより、飛来・落下災害が発生するリスクが高まります。

よくある原因⑥:適切な保護具の未使用

ヘルメットや安全帯、防護眼鏡などの保護具を使用しないことで、飛来物・落下物からの被害が大きくなります。保護具の重要性を理解し、常に使用することが必要です。

飛来・落下事故の災害で受け取れる労災保険給付の種類

労働中に飛来・落下災害が起きた場合は、労働災害のうち業務災害に該当する可能性が高いです。
そのため、労働基準監督署に労災申請をして、労災認定がされれば、労災保険から保険給付が受けられます。

業務災害の労災認定要件とは

労働中の飛来・落下災害が、「会社の指揮命令下で起きた事故であること(業務遂行性)」と、「事故で負った怪我と業務との間に因果関係があること(業務起因性)」という、2つの要件を満たせば、労働災害が認定されます。

飛来・落下災害で受け取れる可能性がある労災保険給付の種類

飛来・落下災害で労災認定されると受け取れる可能性のある労災保険給付は次のとおりです。

療養や休業が生じた場合後遺障害が残った場合被災者が亡くなった場合
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・介護補償給付
・遺族補償給付
・葬祭料

後遺障害が残った場合の補償の内容

労働中の飛来・落下災害では、次のような重篤な後遺障害が残ってしまう場合があります。

  • 飛来物が目にあたり失明してしまった
  • 落下してきた重量物にはさまれた指が切断に至り、欠けたままになった
  • 脊髄損傷によって、神経系統の機能障害が残った
  • 頭部損傷が原因で、高次脳機能障害が残った

このような障害が残ってしまった場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、労働基準監督署に請求書を提出し、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

残存した障害について等級認定されれば、労災保険より次のような給付が受けられます。

障害等級1級~7級に該当する場合障害等級8級~14級に該当する場合
・障害補償年金
・障害特別支給金
・障害補償一時金
・障害特別支給金

飛来・落下災害による損害賠償請求について解説

労働中に飛来・落下災害に遭った場合は、上記の労災保険給付に加えて、安全配慮義務違反使用者責任を根拠に、会社へ損害賠償請求が可能なケースがあります。

安全配慮義務違反と使用者責任

安全配慮義務違反会社は従業員の健康と安全に配慮する義務を負っていて、この義務を怠ったために労災が起きたことを立証できれば、損害賠償請求が認められます。
使用者責任ほかの従業員の過失によって労災が起きた場合、その従業員を雇用する会社も賠償責任を負うため、過失のある従業員と会社に対して、損害賠償請求ができます。

慰謝料や、一部の損害は労災保険の補填だけでは不十分な場合があるので、会社や過失のある従業員に対して損害賠償請求ができるかどうか確認してみましょう。

落下事故・飛来事故はアジア総合法律事務所に相談ください。

上記のような対策が十分でない現場で飛来災害・落下災害生じることがあります。

飛来・落下災害は、作業中の物を落下させてしまうなど、第三者の過失が重なって生じることがあります。

事故の原因が第三者にある場合や、会社が安全な労働環境を整備していないことが原因である場合は、会社に対して損害賠償請求をすることができる可能性があります。

飛来・落下災害は、特に重傷になるケースが多く、補償額は数百万円から数千万円になることも珍しくありません。

このような場合には、会社に対して安全配慮義務違反や使用者責任を追及して損害賠償の請求をすることが可能となります。

労働現場の事故については会社の安全配慮義務が認められる可能性が高いですので、労働災害の遭われた方は当事務所までご相談ください。