業務中に右手親指が挟まれ切断した結果、労災保険から後遺障害13級の認定がなされ会社と700万円の示談が成立した事例

事例概要

ご依頼者30代男性
事故状況フォークリフトのフック部分と荷物の持ち手が親指に挟まれて切断
傷病名右拇指切断、右拇指末節骨解放骨折
後遺障害等級後遺障害等級13級5号
最終獲得金額約700万円

事故の概要及び障害の内容

本件事故は、トラック運転などの仕事をしていた被災者が、トラックの荷台において作業をしていたところ、フォークリフトのフックに荷物の紐を掛けた際、突如フォークリフトのフックが動き出したことで、フォークリフトのフックと荷物の紐の間に右手親指が挟まれ、右母指切断、右母指末節骨解放骨折の傷病を負いました。

突然事故に遭って大けがを負い、今後どうしてよいか分からないとのことで、ご家族が当事務所に相談に来られ、最終的には労災保険から後遺障害13級の5が認定され、会社側弁護士と裁判を行わず交渉で(労災保険の給付とは別に)700万円以上での示談に成功しました。

ご相談のきっかけ

労災事故発生後、依頼者が緊急入院となったことで、ご家族様がすぐに当事務所に相談にこられました。当事務所において、まずは本件事故の状況を整理し、ご家族様のご不安の内容もひとつずつ整理していきました。ご家族としては、労災保険の手続きをどのように進めたらよいのか、会社から連絡がないことや今後の被災者のことについてなど、多数のご不安がありました。また、ご本人様としても、入院となったことで、今後の生活や後遺障害についてご不安を感じておられました。

当事務所で法律相談を実施することで、まずは状況を整理して、労災保険の適切な申請や、最終的に適正な賠償金を獲得するため、事故直後から症状固定時まで一貫した治療を行うことが必要であることのアドバイスや、右手親指が無事に縫合できたとはいえ、縫合の程度や後遺障害の残存が見込まれることが考えられることなどを踏まえ、症状固定時に後遺障害診断書に症状を適切に反映してもらうことが重要であるとアドバイスさせていただき、後遺障害の申し立てに加えて会社への損害賠償請求のご依頼をいただくことになりました。

弁護士に依頼することで、被災者は自身の症状が労災保険の後遺障害にどのように該当するかを明確に理解でき、後遺障害等級の認定を得るために具体的にどのような検査を受ける必要があるのか、どのように後遺障害診断書を記載いただく必要があるのかアドバイスを受けることができ、その結果として、賠償額が大幅に増額されるケースがあります。

後遺障害の申請(労災保険への障害(補償)給付の申請)

依頼者の方の治療が終了したタイミングで、労災保険に対して、障害(補償)給付の申請を行うことになります。これが労災の後遺障害の申請となります。

被災者が労災保険から後遺障害等級の認定を受けるには、専門的な知識と経験が必要となります。

依頼者の方は、右母指の欠損障害があり、右母指骨折開放骨折により、主治医の意見とレントゲン写真にて指骨の一部を失っていることの立証に成功しました。

これにより、障害等級13級の5の「1手の母指の指骨の一部を失ったもの」(系列24)に該当することが認められました。右母指の可動域制限もありましたが、これは健側に比べて1/2以下の制限まではありませんでした。

また、右母指の神経症状が残存しており、神経症状は右母指の欠損の随伴症状と判断されております(後遺障害で欠損障害や機能障害等の認定を受ける場合に、随伴症状である神経症状までしっかりと後遺障害に含めた判断をされていることは後の示談交渉で効いてきます)。

このような形で、労働基準監督署に対する障害(補償)給付の申請では、障害等級13級の5の「1手の母指の指骨の一部を失ったもの」(系列24)が認定され、随伴症状として同部位の神経症状があることが認定されました。

会社に対する損害賠償請求

今回の事故は、工場の倉庫内において、フォークリフトの荷下ろし中に右母指が挟まれて切断をしたものでした。そこで、雇用主の会社に対して損害賠償請求を行いました。具体的にはフォークリフトの運転手に民法709条、雇用主に対して715条の使用者責任、安全配慮義務違反(民法415条)の責任があると考えられました。

そこで、弁護士より会社に対して、依頼者の右母指の欠損(及び神経症状)の治療に関する慰謝料、休業損害、後遺症慰謝料、後遺障害の逸失利益等の損害賠償請求を行いました。

会社側にも弁護士がつき、当事務所と会社側の法律事務所で交渉を行いました。

当初、会社は責任を認めつつも、依頼者にも過失の主張をするなど、労災保険の支払いとは別に500万円程度の賠償額を提示しました。この提示もそこまで低くはなかったのですが、当事務所では、さらに、依頼者の過失がないこと、被災者の日常的な痛みや将来の収入減少による不安、事故による労働への具体的な支障を立証しつつ、粘り強く示談交渉を行いました。

さらに、当職において後遺障害の存在を明確に示し、医師の診断書や詳細な診療記録に基づいた主張をした結果、労災保険の資料を活用して適切な賠償額を求めた結果、最終的な賠償額は労災保険とは別に700万円以上の金額での示談に成功しました。

このように、弁護士に依頼することで、被災者は後遺障害認定を認定を得ることができ、結果的に賠償額も大幅に増額されることになりました。

労災事故で怪我をされた場合、専門家のサポートを受けることで、被災者の権利を最大限に主張し、最善の結果を得ることができます。労災事故のご相談は、ぜひ弁護士法人アジア総合法律事務所までお問い合わせください。

当事務所からのコメント

 今回のケースにおいては、弁護士の介入し、右手親指が癒合したとは言え、お怪我された部位に障害が残存したことを適切に後遺障害診断書に明記いただくように方針を立てたことで、適切な後遺障害の認定を得ることができ、最終的には賠償額の大幅な増額を実現しました。

また、被害者としても、本件事故により働けなくなったことで収入が途絶える普段がありましたが、スムーズに労災保険の休業補償給付を受けることで、これまでの生活を安心して維持するための十分な賠償を受けることができました。

今回のように、フォークリフトによる業務災害は、労働災害ではよく生じ得る事故態様です。当事務所でもフォークリフトによる業務災害の案件を何度も経験しておりますが、会社側は、事故の原因は専ら本人の責任であるとして、本人に大幅な過失があると主張したり、そもそも会社に賠償責任はないとして、一切の賠償を否定してくることが多いといえます。

このような場合、労働安全衛生規則の条文や厚生労働省による会社側への指導規程など立証し、会社にどのような責任があるかを主張及び立証することが重要となります。

労災保険の治療中でも今後のことにご不安を感じている場合、当事務所に相談をいただくことで、労災保険の制度の説明や後遺障害の認定制度の説明、ご自身の症状が後遺障害に該当する可能性があるのか等お伝えをさせていただいております。

労災事故を専門的に扱う法律事務所は多くないところ、当事務所では、本件の高所作業中の事故など、労災事故では、かなり多くの事例を取り扱っておりますので、高度かつ専門的なアドバイスをさせていただくことが可能です。

また、ご依頼された場合には、労災保険への後遺障害申請は、弁護士が行いますので、被害者の方ご自身では難しいようなそれぞれの症状に適合した後遺障害の認定をお手伝いさせていただくことができます。

また、会社等への示談交渉では、会社は自らの非を認めないことがほとんどですので、交渉は困難であることが多く、示談ではなく裁判等の手続きを取らざるを得ないこともあります。被害者の方にとっては、ご自身で会社と交渉をするという負担からも解放されます。

当事務所への相談方法は、お電話またはLINEから申し込みをいただくことが便利です。労災事故に遭われた被害者の方はお気軽にご相談ください。

また、当事務所では弁護士の先生向けの労災相談もしておりますので、弁護士の先生で労災事故の相談や依頼を受けたが、どのように対応してよいか分からない場合、当事務所にご相談をいただくことも可能です。