労災で保険会社から支払拒否された後、交渉により1200万円を勝ち取った事例

  • 傷病: 中心性脊髄損傷,腰背部捻挫,外傷性腰椎椎間板ヘルニア
  • 部位: 脊髄,腰部,中心性脊髄損傷
  • 後遺障害等級: 5級
  • 最終示談金額: 1250万獲得

事故内容と障害内容

相談者(男性)の方は、建築現場で、窓枠をぬくためにバールを引っかけて窓枠を外すという作業をしていたところ、バールが抜けて後方に転倒し、負傷しました。

ご依頼の経緯

この事故により相談者の方は、中心性脊髄損傷、腰背部捻挫、外傷性腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。
労災保険へ後遺障害の申請をしたところ、障害等級(後遺障害)第5級が認定されました。

しかし、勤務先加入の任意保険会社からは、既往障害(事故以前からあった既存の障害)であり、労災事故による怪我ではないとして、後遺障害にも該当しないということで、後遺障害部分の賠償は行わないという回答を受けました。

労災保険で障害等級第5級という重度な後遺障害が残存したにも関わらず、会社側の任意保険会社からは支払いを拒否するという回答があったため、それはおかしいのではないかと、労災等の怪我に強い当事務所をホームページで探されてご相談に来られました。

弁護活動

争点は、相談者の中心性脊髄損傷が、労災事故によるものなのか、それとも既往障害によるものなのかという点でした。事故による中心性脊髄損傷であれば、保険会社から賠償金が支払われますが、そうでなければ、障害等級14級程度の賠償が予想されました。

当事務所において、熊本県の病院の主治医と面談を実施したところ、医師としては先天性の脊柱管の遺残であるとの見解でした。つまり、相談者の脊髄に見える影は、生まれつきの脊柱管の遺残であり、本件事故によるものではないということでした。

主治医からは上記の意見でしたが、相談者の方は、事故に遭う以前は、建築現場で問題なく働くことができていたにもかかわらず、事故の後は、シビレや麻痺が残り、建築現場で働くことはできない身体になっていました。そこで、労災事故によるという立証ができないかを検討しました。そして、当法律事務所のこれまでの怪我の立証の経験から、東京の病院の中心性脊髄損傷の権威の先生にセカンドオピニオンを受けるということを当事務所からご提案しました。

相談者の方は、熊本県在住であるため、東京でのセカンドオピニオンは旅費や交通費がかかりますが、これ以外の方法はありません。弁護士が相談者の方に提案をしたところ、相談者の方は、諦めきれないのでできる限りのことをしたいと、東京の中心性脊髄損傷の権威の先生にセカンドオピニオンを受けるということになりました。

セカンドオピニオンでは、相談者の脊柱管の影は外傷による脊髄損傷であるという意見の診断書を作成されました。

そこで、この意見書をもとに保険会社と再度交渉を行ったのです。

結果

中心性脊髄損傷の権威の先生の診断をもとに、当事務所の弁護士が会社の保険会社と交渉を行ったところ、既払金を除いて約1250万円で示談が成立しました。

このように、中心性脊髄損傷の立証を行うことにより、労災の賠償金が0→1200万円となりました。

弁護士のこれまでの経験による提案と、相談者の方の努力により、障害等級5級を前提とした労働災害の補償が受けられたという事案です。